10月初め、たぬき先生、なんと、あの有名な写真家・立木義浩のカメラに収まった。
だが、残念、ヌードではない。場所も、スタジオではなく、毛利医院。
サンデー毎日の連載「人間列島」のための撮影だった。
たぬき先生、まず、機材に度肝を抜かれる。3人の若い男性助手が、次から次と、大道具小道具を運び込む。モニターとおぼしきものに、反射板が3っもあったか。カメラときたら、デスクトップパソコンほどの大きさ、蛇腹があって、黒い布をかぶり、乾板に感光させるタイプ。町の写真館で見かけるやつだが、全体に渋くレンズの囲いが木製の点が違っていた。
本尊の立木義浩センセときたら、もっと、たぬき先生の度肝を抜く。
現れ方からして、突飛だ。インタビューアーの女性と打ち合わせをしているところに、いつ来たのか、ヒョコっと顔をのぞかせる。いたずらっ子の顔だ。
挨拶などする間もあればこそ、ソソクサと医院内を物色する。瞬く間に、「ああ、ここ、ここ」と、待合室の隅を撮影場所に指定する。間髪を入れず、自分で、子ども用の椅子を持ってきて、たぬき先生を座らせる。応も否もない。
スマートでクールな紳士という立木義浩センセのイメージは崩れ去った。その実像はチョーせっかちだったのだ。
撮影自体も、めまぐるしい。黒い布をかぶったり出たり、乾板を差し入れたり抜いたり、電光石火の早業とはこのことか。たちまち、十数枚は撮ったろう。「はい、おわり」で、助手に片づけを命ずると、もう帰りかける。
たぬき先生が「立木さんに撮ってもらって光栄です」とオベンチャラを言う。すると、立木センセ、たちどころに「いや、写真は撮られる人によるんです」と返してきた。「いくら写真家が優れていても、撮られる人に輝くものがなければ、いい写真はできません」。
これにくすぐられたたぬき先生、照れ隠しに、つぶやいていた。「あ、それ、医者も同じだなあ」「いくら名医でも、病人に自分で治す体力と気力がなければ、治せないんですよ」。
かくして、両センセは、意気投合。固い握手を交わして、ソソクサと別れたのでありました。
なお、この写真と記事が載るサンデー毎日は、11月中に出る。店頭にご注意を。
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