--- 予防について ---

Qは質問、Aは回答です。
回答は、署名付き以外は、全て、小児科医・毛利子来が、自分の考えに基づいて、書いたものです。
ですから、絶対視しないで、他の考え方も参考にしながら、最終的には、ご自分で判断してくださることを望みます。


簡単な予防法はないのでしょうか?
簡単というか、いちばん肝心な予防法は、疲労と睡眠不足を避け、強いストレスは早く解決するか一時ペンディングにしておくこと。そして、病院をはじめ人混みを避けることです。

インフルエンザを予防するのは予防接種という方法が一番なのでしょうか?
いいえ、予防接種は当てになりません。 学童に対する効果がないことは、前橋市医師会の優れた調査研究で証明済み、その後これを否定する調査研究は現れていません。 効果があるとする研究報告は数多く出されていますが、そのほとんどは小規模の血中抗体価だけで断定していて、実際上の感染予防効果と発病阻止効果と重症化阻止効果を大規模のRCT(無作為対象試験)という方法で証明すべきとする国際的スタンダードに反し、当てにはなりません。 乳幼児に対する予防接種の効果については、厚生省が「不明」としており、平成12年度厚生科学研究費補助金(新興・再興感染症研究事業)研究報告書「乳幼児 に対するインフルエンザワクチンの効果に関する研究」は、インフルエンザ様疾患(39.0℃以上)に対するワクチン接種の有効性については、1-5歳の幼児では接種するとかかるリスクは0.72倍(つまり30%ほどは有効)になるが、1歳未満の有効性は明らかでなかった、と報告しました。
また、その他の乳幼児に対するインフルエンザワクチンの効果の報告では、
2-6才 感染防止効果は A香港型 50% B型無効 (菅谷憲夫,1994年)
2-5才 感染防止効果は A香港型 31% B型45%(Eugene S.Hurwitz,2000年)
5-10月児 抗体獲得は Aソ連型56% A香港型24% B型48% (山本淳,2001年)
となっています。
 これらの研究結果を総合すると、インフルエンザワクチンの効果は悪く、十分な効 果を上げるには「過去にインフルエンザに自然感染している必要がある」との結論づ けられます。
どうやら、効果がある児はすでにインフルエンザ感染をしていると思われます。  ですから、はじめてシーズンを迎える乳幼児には効果があるかどうかは疑問です。  なお、インフルエンザ脳炎・脳症の防止に効果があるとの報告もありません。 老人に対する効果については、日本には老人施設でのたった1つの研究があるだけで、結果も、全体としてはかなりの効果が認められるものの、施設によるばらつきの多いことに疑問を持たざるをえません。欧米の研究では「有効」とするものが多いのですが、研究の方法に厳密さを欠くものがほとんど。よく模範にされるアメリカでは、接種率が65%を越えても、老人の死亡を減らしているわけではないのです。そんな中で最も厳密な方法で行われたオランダの研究でも、接種した人たちは接種しなかった人たちと比べて1.6%しか発病者が減っていません。

予防接種を受けるために、病院に並んでいて、ほかの病気にかかってしまうのが心配。
まったく正しい心配です。なにしろ病院や医院は病原体の巣、必要もないのに行くのは病気にかかりに行くみたいなものです。まして、インフルエンザの予防接種は効果が期待できないのですから余計です。

日ごろは子どもを保育園に預けているのですが、保育園でうつされてくるのが心配。
たいへん複雑で難しい問題ですね。保育園でインフルエンザらしい病気が流行ったときにどうするかは、個別に事情で判断するしかないと思います。まず、子どもが心臓病とかの重い持病を持っている場合、ひきつけやすい体質の場合、呼吸器が弱く肺炎を起こしやすい場合などは、なんとか工面して休ませておくほうが無難かと思います。しかし、日頃から元気で、病気しても重くならず早く治る子どもの場合は、親が無理してまで保育園を休ませることはないと思います。たとえ、うつったとしても、子どもは病気をしながら免疫を付けて丈夫になっていくものですから。ただ、インフルエンザらしい病気が流行りだすと、保育園のほうで、休園にしてしまうことが多いでしょう。

子どもが小さいので人ごみを避けるようにしていますが、どうしても法事などで人が大勢集まる場所につれていかなければなりません。どのような点に気をつけたらよいでしょう?
くしゃみしたり、せき込んだりしている人には近づかないように、特に抱くのは遠慮してもらうべきです。そして、大勢集まっている場所からは、なるべく早く退散すること。途中でも、折を見て、外に連れ出したらよいと思います。